私たち、双子よ。

 通勤電車でいつも同じ車両に乗りあわせる人たちがいる。 新婚さんらしき若い二人、髪をきっちり横わけにした美人、芸能人の○○さんに似た人、 アタッシュケースの上に長い指を置いていつも熟睡している痩せた男性 etc……。

 「朝いつも同じ顔触れ」というのは誰しも経験のあることだと思うが、 このなかに自分によく似た人がいるのに気付いて、意識するようになった。 その人を仮にドッペル子さんと呼ぶことにしよう。

 ドッペル子さんは見たところ私と同年代の女性で、私と同じように眼鏡をかけ、まとめ髪にしている。背格好も似ているし服の好みまでソックリらしい。
 2000年冬、少々流行遅れなピンクベージュのAラインコートを来て出掛けた朝、ドッペル子さんがこれにソックリなコートを着ているのを見て仰天してしまった。そして今年。通販でダークブラウンの中綿コートを購入したのだが、またしても彼女がこれによく似たコートを着ているのを見て二度ビックリ。そういえば、夏にもまるでお揃いみたいなビーチサンダルを履いていたっけ……。


 毎朝、私が家を出るのと同じぐらいの時間に、家の正面にある駐輪場からドッペル子さんが出てくる。 同じぐらいの歩調で駅へ向かい、同じ電車の同じ車両に乗る。 私たちが隣り合わせて座っているとまるで双子みたいに見えるのではなかろうか。

 そして同じ駅で降り、同じ方面へ向かう。コンビニで同じレジに並んでいたことさえある。 ドッペル子さんはどうやら我が社の隣のビル内にお勤めのようだ。

 同じなのは朝の電車と通勤場所と服の好みだけではなかった。なんと帰宅時間まで同じらしい。 さすがに帰りまで同じ車両になったことはないが、駅前で何度か見かけたので、たぶん彼女も5時あがりなんだろう。

 世の中には自分に似た人が三人は居ると言うが、彼女はそのうちの一人なんだろうか。 彼女のほうでも毎朝私のことを意識しているんだろうか?
 名前も知らないソックリさんに話しかけてみたいという誘惑に駆られるが、 ヘンな人だと思われたら困るし……。葛藤の日々であった。









後日談――ソックリさんとのその後

 ↑の文を読んでくれた方から「ソックリさんのその後が気になる」というメールを頂いたので後日談を……。

 2002年・夏。彼女と私はあいかわらず同じ時間・同じルートで通勤しているが、駅の改装工事後、乗客の流れに変化が起きたため隣り合わせることは少なくなった。春〜秋にかけては(互いに)手持ちの服が増えたせいか同じ格好ということもなくなった。しかし冬期は3着程度のコートを着回すため、頻繁に同じ格好になるだろうと予測される。そして先週の雨の日…… 彼女と私は同じようなオレンジ色の傘を持って歩いていたのだった。やっぱりトコトンそっくりさん! 

 そうだ、コレ書いてて思い出した。私には異母妹が居るのだった。会ったことはないし名前も年齢も知らないんだけど、まさか彼女ではあるまいなー?!




さらにその後のはなし

 2003年・春に引っ越しをした。時間帯・利用路線ともに変わったので彼女を見かける機会もほとんどなくなった。さらば、ソックリさん。達者でな〜!




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