一.絶えかねたように
     言葉をさえぎった風
          君とすれ違う街角

    枝から離れた枯葉が
      土に還ることもできずに
          しかばねをさらけだす

    もがけばもがくほど糸はもつれてゆくだけなのに

二.目覚まし時計が
      けたたましくなり続ける
          独りよがりの街角

    淋しさ紛らわす為に
      口にくわえた煙草が
          断ち切れぬ想いをつのる
        
    忘れようとすればするほど鮮やかさを増すだけなのに

三.油絵のように
      色の上に色を重ねた
          でも水彩画である事を忘れている

    自己嫌悪の中で眉をしかめる

    君の薬指から僕の手のひらに
       残されたものそれは
           浅はかな僕に対する君の返事
               
    静かに眼を閉じて、じっと目を閉じて
                    今、君を見送ろう


ある別れの風景