宝塚グランドロマン
ベルサイユのばら 2001
フェルゼンとマリー・アントワネット編
主な配役(敬称略)
*プログラム掲載順
| フェルゼン | 和央 ようか | アントワネット | 花總 まり |
| オスカル *Wキャスト |
彩輝 直 | アンドレ *Wキャスト |
水 夏希 |
| 水 夏希 | 彩輝 直 | ||
| マリア・テレジア | 城 火呂絵 | マロン・グラッセ | 星 里未子 |
| メルシー伯爵 | 未沙 のえる | グスタフ3世 | 箙 かおる |
| ルイ16世 | 大峯 麻友 | モンゼット公爵夫人 | 出雲 綾 |
| プロバンス伯爵 | 真中 ひかる | ヨーゼフ国王 | 祐輝 薫 |
| ロザリー | 陵 あきの | ジェローデル | 寿 つかさ |
| ベルナール | 朝宮 真由 | ソフィア | 南城 ひかり |
| 小公子 | 久遠 麻耶 |
あらすじ
第1部
1770年、オーストリア女王 マリア・テレジアはオーストリア・ハプスブルク家と、フランス・ブルボン家の友好のために、フランスへ輿入れする娘 マリー・アントワネットの身を案じ、メルシー伯爵を後見人とします。このときアントワネットはまだ14歳。結婚というものがどういうものかもわからず、ただ綺麗なドレスが着れて嬉しいとはしゃいでいます。この後アントワネットがガラスの馬車に乗りオーストリアまで向かいます。
暗転と共に舞台は一気に18年後のベルサイユ宮殿へと移ります。フランスへ嫁いで来た日のことをメルシー伯と語るアントワネット。輿入れの際、オーストリアから身に付けてきたものは全てフランスのものに取り替えられ、アントワネットのたった一人のよき友達だったお人形さえ、メルシー伯に「今日からはフランスの王太子のお妃なのだから」と取り上げられてしまっていたのです。『ステファン』というその人形をメルシー伯はまだ持っていました。返して欲しいと言うアントワネットに、「良い時が来たら返します」と言うメルシー伯。
そこへ王妃の取り巻きの貴婦人達がやってきます。貴婦人達が王妃を遊びに誘うとしているところへ、近衛隊隊長のオスカルがやってきます。華麗な軍服に身を包み、女でありながら近衛隊隊長であったオスカルは貴婦人達の憧れの的でした。彼女を取り囲み騒ぐ貴婦人達を諌めるオスカル。王妃の贅沢のため重税を負っている国民の生活は窮乏していました。そして王家を糾弾しようとする民衆の声を知っていたオスカルは、あえてアントワネットに苦言を呈しに来たのです。王妃は嫁いで来た時の少女のまま、宮殿で時を過ごしてきた事を認め、オスカルの忠告に耳を傾けようとします。しかし国民の批判の的はその事だけではありませんでした。フランス王妃とスウェーデン貴族・フェルゼン伯爵との不倫の恋の話は、宮廷中の噂になっていたのです。その事を知ったオスカルはフェルゼンを帰国させるようアントワネットに願い出ます。しかし、アントワネットは王妃としてではなく、一女性として愛した人と離れる事はできないと言ってオスカルの願いを拒絶します。
ベルサイユ宮殿の廊下で夜人目を忍んで王妃に会いに来たフェルゼンを見つけたオスカルは、アントワネットの為にも帰国して欲しいとフェルゼンに頼みます。しかし反対にフェルゼンは女を捨てたオスカルにこの恋の苦しさはわかるはずはないと言ってその場を立ち去ってしまいます。密かにフェルゼンを愛していたオスカルは傷ついてしまいます。
ベルサイユ宮殿の庭園では、フェルゼンとアントワネットが人目を忍んで運河に浮かべた船の上で愛を語らいます。
ある日、ジェルジェ家にロザリーとベルナールが訪ねてきます。ベルナールからパリの状態を聞かされるアンドレ。蜂起した民衆が続々と終結し、一触即発の状態にあるパリでは、今後何があるかわからないので、オスカルを守るようにアンドレは頼まれ、またオスカルの乳母の孫として兄妹同然に育ってきたアンドレも何があっても彼女を守り抜く事を誓います。
ある日、フェルゼンの屋敷をメルシー伯が訊ね、アントワネットと別れて欲しいと頼みにきます。アントワネットの王妃としての名誉を考えて欲しいという訴えにフェルゼンは苦悩します。そして苦しみながらも帰国の決意を固めるフェルゼン。ルイ16世は挨拶に来た彼に帰国を延ばし、王妃の力になって欲しいと言いますが、フェルゼンの意思は変わりませんでした。二人の関係を知った上での国王の言葉を聞いたアントワネットはその心の広さに感銘を受け、過去の全てを断ち切ってフランス王妃として立派に王朝を守っていく事を決意します。
オスカルを愛していながら、オスカルのフェルゼンへの愛を知っていたアンドレは、スウェーデンに帰国する前にオスカルに一言声をかけてやって欲しいとフェルゼンに頼みます。そんなアンドレの胸中を察したフェルゼンは、反対にオスカルを守ってやって欲しいと言い残して去っていきました。
ベルサイユを護る近衛隊から、フランスの治安を護る衛兵隊へ転属を願い出たオスカルのパリ出動の前夜。巨大な歴史の歯車の前では自分の存在など無にも等しいと、自分の無力さと不安な心をアンドレに打ち明け、彼の愛を受け入れるオスカル。永遠の愛を誓い、出会いから十何年を経てようやく二人は結ばれたのでした。
そしてパリへ出動したオスカル達。市民達への攻撃を開始せよと命令する衛兵隊総指揮官・ブイエ将軍に対し、オスカルは貴族という身分を捨て、市民として革命に参加すると宣言します。オスカルの意思に賛同した衛兵隊達は市民達とともに出撃の準備にかかります。その最中にアンドレが銃弾に倒れてしまいます。
悲しみに耐え、革命の前線に立つオスカル。激しい戦闘の最中、オスカルも銃弾に倒れてしまいます。その時、バスティーユに白旗が上がります。その白旗を見て勝利を確信したオスカルは息絶えてしまいます。
フェルゼンはスウェーデンに帰国したものの、変わらずにアントワネットを思い続けていました。そんなフェルゼンのもとにジェローデル少佐が訊ねてきます。革命が勃発し、オスカルもアンドレも戦死した事、国王一家の身に危険が迫っている事を知らされたフェルゼンは妹のソフィアが止めるのも聞かずに、フランスへ向かう事を決意します。しかし、アントワネットとの噂を快く思っていなかった政府の監視下に置かれていたフェルゼンにとって、それは容易な事ではありませんでした。スウェーデン国王・グスタフ3世の誕生日のお祭り騒ぎに乗じて、国外脱出を図る事を思いつきます。
国王の誕生日を祝い、グスタフ3世に謁見を願い出るフェルゼン。暗にアントワネットへの愛について尋ねる国王に対し、命を捨てる覚悟があると打ち明けるフェルゼン。陸軍大臣の命を受け、なんとしても国外脱出を阻止しようとする兵士達。しかしフェルゼンの思いに心打たれたグスタフ3世はフェルゼンをフランスへと行かせるのでした。
第2部
ベルサイユ宮殿の大広間。革命が起こり自らの身を守るために、ほとんどの貴族達は王室を見捨てていってしまいました。ブイエ将軍から革命軍がベルサイユへ進軍し、市民達が国王一家を引き渡すように要求している事を知らされた王弟・プロバンス伯爵は、王室の軍隊を動かし革命軍への攻撃を開始するように命令を下そうとします。そこへ国王と王妃が現れ、フランスを救うためにパリへ行く事を承諾するとプロバンス伯爵に告げます。アントワネットは宮殿に乗り込み、自分を罵倒する市民達を威厳に溢れた態度で諌めたのでした。
フェルゼンはアントワネットの実の兄であるオーストリアのヨーゼフ国王のもとへ向かいます。オーストリアの国力をもってフランス国王一家の救出への助力を願い出るフェルゼン。しかしヨーゼフ国王は一国の王として、たとえ兄妹といえども個人的な感情で国を巻き込むことはできないとフェルゼンの願いを聞き入れてはくれませんでした。
革命軍によってパリのチュイルリー宮へ移された国王一家。皮肉な事にベルサイユを離れて初めて、家族そろった静かな生活を送る事ができたアントワネット。王妃としての自覚も新たに、心を通わせる国王とアントワネット。しかしそこへルイ16世に革命委員会からの呼び出しがかかり、処刑される事になってしまいます。残されたアントワネットは、王妃として、母として更に強くならなければならない事を悟ったのでした。
一見成功したかに見えた革命も、実際は新たな貴族達の権力争いに利用されたに過ぎなかったのでした。一向に暮らしが楽にならない市民達の怒りはアントワネット1人に向かっていました。
やっとフランス国境にたどり着いたフェルゼンとジェローデル。しかし時既に遅く、国王が処刑されたことを知り愕然とする2人。残されたアントワネットだけでも救おうとフェルゼンはパリへ馬車を走らせます。
薄暗い牢獄の中、女囚となったアントワネットのもとへ、メルシー伯が面会にやってきます。あのステファン人形を携えて…。幼い頃の幸せな思い出を胸に静かに処刑の時を待つアントワネット。そこへフェルゼンが忍び入り、国外へ脱出するように迎えにきます。しかし子供達を残して自分ひとりが逃げるわけにはいかない、また最後まで立派なフランスの女王として死んでいきたいと願うアントワネットを前にフェルゼンは言葉をなくしてしまいます。
そしていよいよアントワネットが処刑されるときがやってきます。自分の全てをかけて愛した女性を救うことが叶わなかったなかったフェルゼンは、引き裂かれるような思いを胸に断頭台に登っていくアントワネットを見送るのでした。