劇団四季オリジナルミュージカル
ユタと不思議な仲間たち
原作 : 三浦 哲郎
企画・演出 : 浅利 慶太
日程 : 2001年8月7日(火)〜9月16日(日)
会場 : 四季劇場 [秋]
出演(キャスト表掲載順・敬称略)
ペドロ 光枝 明彦 ダンジャ 坂本 里咲 ゴンゾ 吉原 光夫 モンゼ 青山 弥生 ヒノデロ 道口 瑞之 ユタ 田邊 真也 小夜子 相川 忍 寅吉 吉谷 昭雄 ユタの母 西島 美子 クルミ先生 丹 靖子 大作 遊佐 真一 一郎 澤村 明仁 新太 小川 善太郎 たま子 磯津 ひろみ ハラ子 大口 朋子 桃子 大月 恵
あらすじ
(ものすごく省略してます。詳しくは劇団四季公式HPに載っています。手抜きでスイマセン…。
父を亡くし、東京から母の実家のある湯の花村に引っ越してきた水島勇太。村では勇太ではなく短く「ユタ」と呼ばれていました。都会育ちのユタは村の子供達と馴染めずいじめられてばかりいました。 「都会っ子、もやしっ子」といじめられているユタの味方は、継母に幼い弟の子守りを押し付けられている同級生の小夜子と、寅吉じいさんだけ。その寅吉じいさんは座敷わらし達と友達になってみろと勧めます。
ユタが座敷わらし達と会うために1人で寝ていると、座敷わらし達が現れます。ユタの目の前にあわられた5人の座敷わらし達。親分格のペドロ、哲学的なダンジャ、力の強いゴンゾ、泣き虫のモンゼ、白粉(おしろい)のにおいが好きなヒノデロ。
一人ぼっちだったユタに友達ができたと同時に、彼らの悲しみを知るユタ。彼らは飢饉で死んだり間引きされた子供達の魂だったのです。
ユタたちは青空の下で授業を受けます。わらし達もついてきていますが、ユタ以外には見えません。わらし達は他の子供達に様々ないたずらを仕掛けます。その日の3時に大雨が降り、梅雨に入るのでしばらくあえないと言い出すわらし達。オムツが乾かないので梅雨の時期は苦手なのです。わらし達は飢饉が元で死んだり間引きされた子供達の魂。お天気のことはとてもよくわかるといいます。ユタは1人で傘の用意をしますが、その事を同級生にからかわれてつい雨が降ると予言してしまいます。ユタの(というよりわらし達の)予言は的中し、雨が降ってきます。この一件でみんなはユタを見直し始めます。
梅雨が明けて、オムツの洗濯をしたわらし達はユタと一緒に山の頂上へ洗濯物を干しに行きます。わらし達の真似をして鐘の音と共に天高く飛び上がるユタ。けれどもユタはフラフラに…そこでわらし達はユタに体力をつけるための特訓をはじめます。
彼らのおかげで体力のついたユタは同級生達と対等に渡り合えるようになります。ユタはみんなに見えない仲間たちが見守っていてくれた事を話します。そこへ旅姿をしたわらし達がやってきて別れを告げにきます。住処にしていた建物がコンクリートの建物に変わるため、村を去る事になったわらし達。けれどもたくましくなったユタは、もう決して一人ぼっちだとは思わなくなっていました。姿は見えなくなっても彼らが見守っていてくれる事がわかったから…
感想
観劇日:9月8日(土) 17:30〜
1階3列22番
物語はユタが村の子供達にいじめられている所からスタートします。このダンスシーンがスゴイ!今日の座席は最前列だったのですが、オーケストラピットを越えてそのまま飛び出してきてしまうんじゃないか?といった迫力でした。不思議な事にユタがもうダメだ!というところで、三味線の音が響くとなぜかユタがピンチから救われる所がコミカルでした。(わらし達がいたずらをしてユタを助けてくれたわけですが。)
座敷わらし達が現れるときの音楽が、昔の映画やお化け屋敷で使っていそうな ♪ひゅ〜〜 ドロドロ〜〜 という「いかにも」な音楽で思わず微笑んでしまいました。わらし達は様々な所(仏壇の中、掛け軸の裏、畳の下など)から現れてきます。このときにレーザー光線が使われていて、とても神秘的な雰囲気でした。わらし達がそれぞれ自己紹介をはじめるときの ♪わだわだ あげろじゃ ががい という不思議な言葉が後で重要な意味を持ってきます。
わらし達と盃を交わすユタ。わらし達は生まれてすぐに死んでしまったため、歯が生えていません。杯といってもひょうたんの哺乳瓶です。でも、300年以上もの時を過ごしているので、タバコを吸ったりもします。美味しそうにタバコを吸う素振りがオムツとのミスマッチが何ともいえませんでした。
2幕に入り、雨が降ることを予言するユタ。予言が当たり雨が降りますが、このとき舞台には本当の水が!聞いてはいましたがビックリしました。
梅雨が明けて、わらし達が山の頂上へ飛ぶ場面。これが噂のフライングかぁ〜とボーっと見入ってしまいました(笑)。
ユタはわらし達に言います。「みんなは魔法使いのようにいろんなことができていいな」と。けれども反対にペドロにこう言われます。「確かに生きていくということは俺達が考えているよりずっと難しいのかもしれない。「となりの芝生はみどり」ってな。けれどもせっかくもらった命は自分で磨かなかれば、石コロ同じ。本当に生きているという事にはならない。俺達にはそれができねぇ。磨きをかけたくてもその石コロがないわけよ。」(本当は南部弁なんですが、書き言葉で表現するのが難しくて、要約しました。すごーくあったかい言葉でした。)そしてペドロが唄う歌。一度でいいから生きてみたかったと。この歌が綺麗なメロディーなんですが、すごく泣けるんです。特に「一度でいいから親孝行をしてみたかった」というところが純粋なわらし達の魂を象徴していると思いました。
オムツを干しに山の頂上に登るシーンは有名なフライングのシーンです。目の前で飛び上がるユタ&わらし達は本当に楽しそうでした。ユタの体力作りの場面はダンスで表現されているのですが、最初はテンポが遅れていたユタが、次第に追いつくようになり、最後にはわらし達をリードする様子に息を飲まれました。かなり長いダンスシーンでしたが、本当に迫力がありました。オープニングと同じように同級生に囲まれたユタが、今度は最後まで残った時、「わだわだ あげろじゃ ががい!」と叫びます。ユタはその言葉を呪文だと思っていたようですが、寅吉じいさんがその言葉を説明してくれます。「わだは『僕』、あげろじゃは『開けて』、ががいは『お母ちゃん』。つまり、「僕だ撲だ、開けてお母ちゃん」という意味だと…。夕方まで遊んでいた子供が、家に入れて欲しい時に言っていた言葉なんだよと。たとえ親の手で殺されてもなお、親を求めてやまない悲しいそして純粋なわらし達の思いに、涙が止まりませんでした。ラストのわらし達を見送る小夜ちゃんの綺麗な歌声もとても素敵でした。
わらし達は舞台写真で見たときは全員男優さんだと思っていたのですが、ダンジャとモンゼが女優さんで驚きました。お2人ともかっこよくて、そして可愛かったです。カーテンコールで観客も一緒にテーマ曲とも言える「友だちはいいもんだ」を歌ったのですが、その時の皆さんの嬉しそうな顔も印象に残っています。
ユタ役の田邊さんはとても細身で、失礼ながら「もやしっ子」というイメージにぴったりでした。ペドロ親分はあったかくて、カーテンコールの微笑みも素敵でした。ソロの歌に泣かされたのはいうまでもありません。(^^;
「生きているということはそれだけでとてもすばらしいということなんだ、そして友達がいるって素敵だな」ということを大仰なセリフで語るでもなく、押し付けるでもなく、綺麗なメロディとダンスで自然と感じる事ができた作品でした。