ミュージカル
シェルブールの雨傘
作:ジャック・ドゥミー
音楽:ミシェル・ルグラン
翻訳:倉橋健
訳詞:藤 公之介
演出:山田 一也
日程:2003年1月13日(月)〜1月27日(月)
会場:東京グローブ座
出演(プログラム掲載順・敬称略)
ギイ 坂本 昌行 ピエール 仮谷 孝之 ジュヌビエーブ 藤谷 美紀 ベルナール 神崎 順 マドレーヌ 星奈 優里 ジャン 宗田 良一 エムリー夫人(ジュヌビエーブの母) 中川 眞主美 ジェニー 斉藤 レイ エリーズ(ギイの伯母) 大原 ますみ マダム 佳田 亜樹 カサール(宝石商) 青木 祐史 ポストマン 東山 義久 カサデュブール 塚田 三喜夫 クライアント・カスタマー 国友よしひろ オーバン 桝川 譲治 フランソワ 田渕仁・中條友彪
ダンサー:ヒル ナオミ 紀元 由有 菅原 由紀 北原 美智子
あらすじ&感想
観劇日:1月24日(金) 12:00〜
3階O列28番
第1幕
プロローグから舞台には本物の雨が降ってきたのですが、『ユタと不思議な仲間たち』の時と違いオーケストラが舞台奥にいるので、本当に客席の目の間に降っていてビックリしました。ちなみに1階最前列のお客さんにはちゃんとレインコートの貸し出しがありました(笑)。
舞台は1957年アルジェリア戦争の最中のフランス北部の港町・シェルブール。『アンブレラショップ・シェルブール(この名前はパンフレットより。劇中では『シェルブールの雨傘』と歌われていました)』の美しい娘ジュヌビエーブと自動車修理工のギイは密かに愛し合っていました。ジュヌビエーブとのデートの予定があるギイは、残業を頼まれても断わったりして若い恋人同士という感じがすごく良かったです。♪ピエールなら〜 と同僚に頼むあたりはオイオイと思いましたが(笑)。デートに出かける前にギイの仕事帰りに会う2人。ジュヌビエーブにガソリンの匂いを指摘されたギイが♪これは僕の香水〜と切り返すあたり、フランス人っぽい感じ。
ギイは病身の伯母・エリーズと共に暮らしていましたが、エリーズの世話は看護学生のマドレーヌがしてくれていました。久し振りに観たユリちゃん(星奈優里さん)、相変わらず可愛い♪「そろそろいい人をみつけて欲しい」と心配するエリーズ伯母さんと「きっと伯母さんの気に入る人をみつけるでしょう」と話しているマドレーヌのところへ戻って来るギイ。すぐに出かけようとするギイは理由を尋ねられてもはぐらかしますが、伯母さんに再度尋ねられてジュヌビエーブの事を♪大好き とはっきり言います。嬉しいけれど少し寂しそうなエリーズ伯母さんとマドレーヌ。
デートへと向かう為に落ち合う2人。そのままオペラのあとのダンスホールへと場面が転換していくのがとても良かったです。様々なカップルが踊る中、ジュヌビエーブはギイとオペラへ行くのに女の子の友人の名前を出したのですが、うっかりオペラを嫌いな子の名前を出してしまった為に、母親に2人のことが知られてしまったらしいと打ち明けます。デートからの帰り道将来について語り合う2人。もし子供が生まれたらフランソワーズという名前にしよう、ガソリンスタンドを2人でやろう…などとと語り合います。
ジュヌビエーブの母、エムリー夫人は2人が若すぎることを理由に交際を好ましく思っていませんでした。ついつい言い争いになってしまう2人。そこへ一通の督促状が届きます。郵便屋さん(ポストマン)がヨシくんだったのですが、久々に聞くヨシくんの声。甘い雰囲気でカッコよかった♪商売も余り上手くいっていなかったエムリー夫人はジュヌビエーブの説得もあり、宝石を手放す事にします。宝石店を訪れた二人ですが、商談は思うように上手くいきません。この時の宝石商が塚田さん、相変わらずの美声は健在でした^^。そこへ助け舟を出す宝石商のカサール。今は手持がないので翌日店に代金をカサールが持参する事で商談は成立します。
けれども翌日、なかなかカサールは現れません。騙されたのではと疑うジュヌビエーブ。不安に思うエムリー夫人の静止を振り切って、ジュヌビエーブはギイの元へと向かいます。そこへ入れ違いにカサールが宝石の代金を持って現れます。一安心といった表情を浮かべるエムリー夫人。
2人の結婚について母親に打ち明けた事、会うのも禁じられてしまったので家を出てギイと結婚したいと言い出すジュヌビエーブに、ギイは結婚できないと言います。なぜならギイに召集令状がやってきたからです。任期は2年、赴任先は最前線のアルジェリア…。行かないで欲しい、逃げて と言うジュヌビエーブに僕の心は君のもの、待っていて欲しい と慰めるギイ。残された時間にも美しい思い出を作ろう…とその夜2人は結ばれます。2人がベッドへ消えると舞台の前面にはまるで影のように男女のダンサー(男性はヨシくん、女性は確認できず)が現れ、2人が結ばれたというのが分かります。その時舞台には雨が降っていてとても綺麗でした。それにしてもギイ、伯母さんがいるのに女の子を連れてくるなよ…と思わず現実的な突っ込みを入れたくなる私(苦笑)。
自分の部屋に戻ったジュヌビエーブはギイが軍隊に行くこと、彼がいなくては生けてはいけないと母親に打ち明けます。エムリー夫人は自分の若い時にも引き裂かれた恋の思い出がある、2年経てば彼の事を忘れてしまうと娘に言い聞かせます。それでも絶対に忘れないと言い張るジュヌビエーブに彼が戻った時に同じ気持ちなら、またそこで考えましょうと慰めます。
身支度を整え、家を出ようとするギイにエムリー伯母さんが戻ってきた時には自分はこの世にいないかもしれないと言い出します。馬鹿な事を言わないでほしいと言うギイとマドレーヌ。エムリー伯母さんは自分の財産は全てギイに譲ると言います。
駅で別れを惜しむギイとジュヌビエーブ。別れ際ギリギリまで、モナムールとジュテーム を繰り返す2人がが切なかったです。周囲には同じように別れを惜しむカップルや家族の姿があり、全員が出発の時には敬礼をして去って行くのが軍人らしいのですが、敬礼って確か右手でしかしないんじゃないかなぁ〜とついチェックしてしまいました(^^;;。ラストはコーラスが響く中、ジュヌビエーブの後姿で1幕が終了。
第2幕
2ヵ月後のシェルブール。病院から戻ったジュヌビエーブから特に心配はいらないと母親に話します。エムリー夫人はカサールと再会し、夕食に招いたと話しますが、ジュヌビエーブは無関心です。ギイからの手紙がなく、居場所もわからないため自分からの手紙も出せず不安に思うジュヌビエーブに、エムリー夫人は彼の事を諦めるように言います。ジュヌビエーブはめまいを起こし、その場に座り込んでしまいます(それが元で病院へ行ったのです)。エムリー夫人に問いただされて妊娠を打ち明けるジュヌビエーブ。世間体を気にし、カサール氏に気付かれないかと動揺するエムリー夫人。
カサール氏を招いての夕食の席。「きっと働きすぎだろうから、気晴らしに旅行でも」と勧めるカサール氏。疲れたジュヌビエーブが部屋へ戻った後、エムリー夫人にジュヌビエーブと結婚したいと打ち明けるカサール。突然の話で驚いた…と言いつつも嬉しそうなエムリー夫人、チョットヤナ感じ(笑)。エムリー夫人から自らについて尋ねられたカサールは、自らの過去の恋を打ち明けます。この時、若かりし頃のカサール氏という感じでヨシくんが登場しダンスを踊ります。緩めたネクタイとサラリと下ろした髪が素敵でした♪
アルジェリアの野戦地ではギイがジュヌビエーブへの思いを歌います。子供がもし男の子なら名前はフランソワがいいと言うギイ…。
カーニバルの日。お腹も大きくなってきて、イライラするジュヌビエーブに落ち着くよう言うエムリー夫人。相変わらずギイからの便りは少ないようです。「お腹の子に優しい父親を見つけなければ」というエムリー夫人に「ギイが戻る!」と言い放つジュヌビエーブですが、会えない日々に不安は隠せないのも事実のようです。娘を慰めるようにカサール氏との交際を勧めるエムリー夫人。初めは反発していたジュヌビエーブも、次第に心を開きついにカサールと結婚します。
1959年3月、戦地で負傷したギイはシェルブールに戻りエリーズ伯母さんとマドレーヌと再会しますが、ジュヌビエーブの結婚を知りショックを受けます。自暴自棄になり仕事もいい加減、バーで飲んだくれるギイ。この時、カウンターに投げつけるように置いたワイングラスが割れてしまって、そういう演出なのか偶然なのか分かりませんがビックリしました。バーでジェニーという名の女性と知り合い一夜を過ごすギイ。でもマダムから『ジェニー』と呼ばれていた彼女の本当の名前はジュヌビエーブでした…。
家へ戻ったギイをエリーズ伯母さんの死という更なる悲劇が襲います。伯母さんの看護をしてくれていたマドレーヌが家を立ち去ろうとする日にギイはマドレーヌにそばにいて欲しいと言います。何もしてあげられないと言うマドレーヌに、ギイはただそばにいて欲しいと言います。その後、ギイは伯母の遺産を元手にガソリンスタンドを開く事にし、マドレーヌにプロポーズをします。ジュヌビエーブを忘れたいだけなのかと問うマドレーヌに、全ては過ぎ去った事、マドレーヌと暮らしていきたいとはっきり告げるギイ。そして2人は結婚します。
数年後、ガソリンスタンドを営むギイとマドレーヌ。店員も雇っているし、部屋(店?)の中には大きなクリスマスツリーが飾ってあったりして、順調な暮らし振りという雰囲気でした。2人の間には男の子が生まれていました。名前はフランソワ。クリスマス・イブ、マドレーヌとフランソワはオモチャ屋へクリスマスプレゼントを買いに出かけます。そこへ1人の若い夫人が客としてやってきます。なんとジュヌビエーブでした。ポツリポツリと言葉を交わす2人。車に残してきた彼女の娘の名前はフランソワーズ…。帰り際ジュヌビエーブはギイに尋ねます『あなた、幸せ?』と。ギイの答えは『ウィ、とても。』でした。ラストシーンは雪が降り、買い物から戻ったマドレーヌとフランソワと一緒に戯れるギイの3人の姿にコーラスが重なって幕。
カーテンコールは出演者がお辞儀をし退場し、再度全員で登場しながらのコーラス&退場の後、ギイ役の坂本さんとジュヌビエーブ役の藤谷さんのデュエット(曲はもちろん『シェルブールの雨傘』)があり、続いて出演者全員がコーラスをしながら登場というものでした。
感想
原作は1964年のフランス産のミュージカル映画で、映画同様物語の全編にセリフがなく歌で綴るミュージカルでした。観劇予定にはなかった(正確には一度キャンセルした)のですが、やっぱり観たい!ということで行ってきました(笑)。休憩込みで2時間(1幕なんか45分しかなかった。2幕物にする意味あるのかな?)と最近にしては短めでした。
映画を見た記憶は主人公の女の子(カトリーヌ・ドヌーブ)が走りながら歌っているのを見た記憶がかすかにあるくらいですが、有名な同名主題歌は知ってました。このメロディがとっても切なくて、ラストシーンでは思わずホロリと涙してしまいました。(ミシェル・ルグランといえば『壁抜け男』を思い浮かべる方もいらっしゃると思います。)
既に違う道を歩き、それぞれに幸せを築いている二人の会話の曲が1幕ラストと同じなのが切なすぎる〜〜。こういう突っ込みは無粋と思いつつも、それぞれの子供の名前がお互いが思っていた名前を付けているのが嫌だなぁと思っちゃいました。これは多分にマドレーヌに感情移入して観ているせいかと思いますが…。セットも割とシンプルなつくりで移動も人力でした。その為か暗転が多用されていて、舞台がブツ切れに感じるのがたまに傷かな。
主演の坂本さんの舞台を拝見するのは初めてだったのですが、歌・ダンスととても安定していたと思います。ヒロインの藤谷さんは雰囲気は良かったのですが、歌の高音部が不安定なのが気になりました。
今回の観劇の主目的(笑)、ユリちゃんのマドレーヌは優しげな雰囲気が良かったです。ただし、歌はやっぱり高音部に不安ありでした。雰囲気的にはジュヌビエーブでもいいかも。もう1人、ポストマン役のヨシくん。ポストマンの出番は2回だけで、あらら(^^;; と思っていたのですが(そもそもなんで歌だけのミュージカルにヨシくんが?!という疑問もアリ・笑)、主役2人が結ばれる場面や、カサールの過去の場面などセクシーなダンスを楽しめました*^^*
誰も悪くないのに、思い描いた通りには人生はいかない。でも激しい恋だけが愛情じゃない、穏やかに育てていく愛もあるんだなぁ〜と感じる事が出来る作品でした。