新感線G.T.B.W
花の紅天狗
作詞:中島 かずき
演出:いのうえ ひでのり
日程:2003年4月9日(水)〜4月27日(日)
会場:ル テアトル銀座
出演(プログラム掲載順・敬称略)
月影 花之丞 木野 花 赤巻紙 茜 高橋 由美子 桜小町 カケル 森奈 みはる 仰 天一郎 池田 成志 殴屋 多喜二 川原 和久 川上端 麗子 川崎 悦子 藪雨 史郎 粟根 まこと 瀬戸際 我志郎 逆木 圭一郎 コーセー・オースチン 右近 健一 インディ高橋、川原正嗣、
前田悟、磯野慎吾、保坂エマ、
葛貫直子、須永祥之、花井京乃助、二木奈緒
観劇日:4月24日(木) 19:00〜
3列24番
あらすじ
月影花乃丞率いる月影花之丞一座は演劇界でも孤高の位置を占める劇団と言われ、花之丞は“座長芝居の最終兵器”とも呼ばれていた。しかし、彼女の身体は恐るべき病魔に蝕まれていた。
奔馬性爆心症(ハイテンション・ビックバン)―――。彼女の心臓はあまりにも強いため、極度の興奮状態になると、心臓が大量の血液を血管に一気に送り込む。血管はその過度の圧力に耐えかねて破裂してしまうという恐るべき奇病である。数年前に一度発作に襲われ、九死に一生を得たが、今度発作を起こせば死は確実と言われている。今では、一度の公演で舞台に立てるのはわずか三分間。主治医・藪雨史郎が彼女の胸にとりつけたカラータイマーが、彼女の命火のバロメーターなのだ。
今、一座を支える花形役者は桜小町カケル。人気も技も上々の彼女だが、花乃丞は不満だった。もう一つスケールに欠けるのだ。そのカケルと花乃丞を支える役者兼裏方の古株、殴屋多喜二。そんなある日、舞台稽古をみていた花乃丞は、カケルに活を入れるためそば屋の出前持ちの娘・赤巻紙茜を当て馬として連れてくる。本人も無自覚だったが茜に天性の素質を感じた花乃丞は、一座に加えることを決め、とまどう茜にも強引に認めさせる。突然のライバル出現に、敵愾心を燃やすカケル。
カケルの意地悪や花乃丞が与える試練の数々に耐えきれず逃げ出してしまう茜に花之丞は真意を明かす。『紅天狗』。花之丞だけが上演権を持つ大衆演劇界に伝わる幻の舞台。いつかこの作品を上演すると誓った花之丞はアカネという天賦の才を得て、再び動き始めたのだった。
しかし、花之丞達の前にはまだまだ多くの試練が待ち受けていた。日本芸能界の征服を目指す悪徳傲慢プロデューサー、仰天一郎(あおぎ てんいちろう)が動き出した。彼は、花乃丞に復習を誓う上川端麗子と手を組み『紅天狗』の上演権を横取りすべく、妨害工作を始める。
茜とカケル、花乃丞と麗子、そして天一郎。さまざまな運命が交錯する中、ついに『紅天狗』上演の時が来た。奇人変人入り乱れ、今、最後のステージの幕が開く。
感想
初めて劇団☆新感線を拝見したのですが、「ついていけるかな」という不安を感じる間もないあっという間の時間でした。話自体が「ガラスの仮面」のパロディになっている上、随所に有名ミュージカルのパロディが出てきてずっと笑いっぱなしだったような気がします。
私がわかったのはエリザベート、モーツァルト!、West Side Story、レ・ミゼラブル、ミス・サイゴン(?)、マンマ・ミーア!、オペラ座の怪人くらいなのですが、詳しい人ならもっとわかったかもしれません(そういえばセリフのみだけど「傭兵ピエール」もあったなぁ)。
キャラクターも面白い人が一杯で、花之丞の主治医・藪雨先生は巨乳アイドル好きという設定でアイドルのビデオを楯に天一郎に協力を強要されているとか、カケルは実は紅天狗を演じたいがために性転換していたとか(しかも天一郎と過去にワケありっぽい・笑)、上川端さんは昔、花之丞先生と紅天狗の主役争いに敗れ喉がつぶれてしまった為、骨をこすり合わせる事で音を出す「関節話法」を使っているとか、無茶苦茶なんですけどみんなすごくハマってました。個人的には宝塚出身のみはるちゃん(森奈みはるさん)のカッコよさに脱帽!
2幕冒頭に茜とカケルの『紅天狗』の主役の座を賭けた劇中劇が上演されるのですが、タイトルがなんと『ヴォルフガングとアマデウス』!舞台中央に白いピアノは吊ってあるし、由美子ちゃん(ヴォルフガング、それもアッキーヴォルフガング)、みはるちゃん(アマデウス)とも扮装がすごく凝ってるし、オスカルチックなひとも出てくるんですが、何といっても天一郎のロベスピエールがスゴイ(なんでプロデューサーの天一郎が混じっているかというと、役者に紛れ込み稽古の邪魔をした天一郎に花之丞がけしかけたら)。扮装は思いっきりトート閣下(内野閣下)だし。このロベスピエールとヴォルフガングが歌う『闇が広がる』の振付が宝塚版の振付のパロディなんで可笑しさが倍増。
笑わせておいたと思えばアマデウスの「君は人を殺し合わせる為に曲を書いているのか?」というセリフ(全く同じ才能を持った2人だけど、貴族の為に曲を書くアマデウスと、民衆の為に曲を書くヴォルフガング。という設定になっていたのです)や、「僕達は魂の双子だ!」など重く響いてくるセリフもありました。天一郎の策略で声が出せなくなった茜に代わって、即興で芝居を締めるカケルがカッコよかった!ロベスピエールを道連れに死んでいったヴォルフガングのためにアマデウスが書く曲が『レクイエム』というのも上手く出来てるな〜と思いました。この劇中劇だけでもどこかで上演してくれないかな〜。
殺陣の場面の効果音(刀が当たる音だけでなく、刀が風を切る音)や映像などもとても効果的で面白かったです。ミュージカルというより(チラシに『今、甦る紅の伝説!見よ、魂のミュージカルを!!』って書いてあったんだもん)というより『活劇』を観たという感じでした。チラシとパンフレット表紙のイラストは漫画家の高橋留美子さんが担当されているのですが、その絵も活劇風でチラシの扮装写真が本編とは全然関係ないのも妙に可笑しかったです(イラストのお医者さん【注射器を持ってる人】は粟根さんと似てるなと思いましたが・笑)。今回はコメディでしたがシリアスな作品も機会があれば観てみたいです。