宝塚グランド・ロマン
傭兵ピエール
〜ジャンヌ・ダルクの恋人〜

原作:佐藤 賢一

脚本・演出:石田 昌也

作曲・編曲:西村 耕次、鞍富 真一

日程:2003年5月9日(金)〜6月22(月)

会場:東京宝塚劇場

主な配役(敬称略)

ピエール(傭兵部隊“アンジューの一角獣”の指揮官) 和央 ようか
ジャンヌ・ダルク(オルレアンの乙女、フランスの救世主) 花總 まり
トマ(“アンジューの一角獣”の副官、会計係) 伊織 直加
ロベール(“アンジューの一角獣”の幹部、元修道士) 水 夏希
ヨランド(シチリア王妃、アンジュー公妃) 邦 なつき
コーション司教 箙 かおる
イヴォンヌ(ジャンヌの世話係) 出雲 綾
アニエス(シャルル7世の愛人) 貴柳 みどり
ラ・イール(フランス軍の名将) 椿 火呂花
カトリーヌ(コーションの愛人) 華宮 あいり
ルイーズ(ピエールと同郷の幼馴染み、今は娼婦) 彩乃 かなみ
ヴィベット(戦争孤児) 花影 アリス
あらすじ&感想
観劇日:6月17日(火) 13:30 〜 2階3列26番


15世紀、百年戦争下のフランス。イギリス軍の侵攻により、フランス王家の威信は失墜。民衆は混沌と暴力の中、恐怖と絶望の淵に瀕していた。傭兵部隊“アンジューの一角獣”のと名乗る若き隊長(シェフ)であるピエールは、実は元々王国の騎士・“アルマン・ドゥ・ラ・フルト”の私生児である。10歳の時にアングル(イギリス)兵との戦いにの最中に父親と生き別れ、当時の傭兵部隊の隊長、ユーグに拾われた。だが16歳の時にユーグを殺害し、シェフとなった男である。

傭兵隊とはいうものの、戦争がなくなれば稼ぎのない彼らは普段はただの荒くれ者の集団として世間から白い目で見られていた。ある日ピエール達は旅の貴族の一団に略奪を働こうとするが、その中に男装した美しい少女を見つける。その娘(ジャンヌ・ダルク)は自分は神の意思を伝えるものであり、今自分が汚されればフランスは滅びると言い、見逃して欲しいとピエールに訴える。その代わり、王太子シャルル7世が戴冠した暁にはピエールにその純潔を捧げると話すのであった。

少女を解放して以来、彼女の存在はピエールにとって忘れられないものとなってしまった。何故彼女を解放したのかと自問するピエール。仲間のトマやロベール達はピエールの様子が変わってしまったことを心配し、街から女(戦争孤児のヴィベット)を連れて来て相手をさせようとするが、ジャンヌの事が頭から離れない彼はそれを拒む。

それから数ヵ月後のある日、オルレアンでの閲兵検査で名将ラ・イール大隊長に出会う。ラ・イールはピエールにフランス軍に現れた“救世主”の演説が明日行われると話す。以前、略奪を働こうとした時に出会った少女がフランス救国の乙女、ジャンヌ・ダルクであると知ったピエールは驚くが、「友達になりたい」と孤独な内面を見せるジャンヌ。無知、純粋無垢、冗談の通じないジャンヌと荒くれ者である傭兵部隊のピエール。果たして2人の恋の行方は?

感想

観終わった時、「ずいぶんマンガチックな話だなぁ」と感じました。同じマンガチックな話でも、たかちゃん(和央ようかさん)にはベルばらの方が似合う(と私は思う)のはやっぱり本人の持ち味が『王子様』だからなのでしょうか。前回のカラフ王子(鳳凰伝)を観ていないのに断言してしまうのもどうかと思いますが(そういえばこれも王子様だ)、たかちゃんはどう見ても「荒くれ者のリーダー」には見えませんでした。どこか上品で『貴族の私生児の若様』が感じられたので、それはそれで成功ということかもしれないのですが。

ハナちゃん(花總まりさん)、今回もまた有名人なのね(笑)。彼女は歴史上の有名人(エリザベート、マリー・アントワネット等)、有名作品のヒロイン(カルメン、トゥーランドットなど)を数多く演じてますが、今回はジャンヌ・ダルクという個人的に予備知識のない人物で(笑)、「へぇ〜、ハナちゃん結構面白いねぇ」というのが正直な感想。ただ、ハナちゃん自身(のオーラ)が大きすぎたのか役が小さく見えましいました。

副官のトマの直ちゃん(伊織直加さん)、会計係も兼ねているという役で直ちゃんの持つ真面目なイメージと合っていたと思います。同じく傭兵部隊の幹部ミズ(水夏希さん)がコネを使って出世していくのに対し、自分の力で着々と商売(高利貸しだったかな?)を大きくしていくのが対照的で面白かったです。直ちゃんはこの作品で宝塚を退団してしまいますが、退団後は女優になられるので(キス・ミー,ケイトのロイスが退団後の初舞台です)、機会があればまた拝見したいです。

娘役陣ではピエールの幼馴染のルイーズのかなみん(彩乃かなみさん)と戦争孤児でピエールを慰めるために連れてこられたヴィベットのアリスちゃん(花影アリスさん)以外にはこれといって目立つ役もなく…。相変わらず(?)男役偏重な脚本なんですね、石田先生(毒)。かなみんの役所は娼婦ではありますが、心は幼い頃のままで子供のようにピエールの胸でなく場面が胸に迫りました。アリスちゃんはまだ研2(研究科2年の略。タカラジェンヌは音楽学校の1年目が予科、2年目が本科、初舞台以降は研究科○年と呼ばれます。)になったばかりの最下級生ですが(研1さんはまだ組に配属されていません)、フサちゃんと元雪組トップ娘役のまひるちゃん(紺野まひるさん)を足したような雰囲気のあるとても可愛らしい娘役さんでした。たかちゃんに「やせこけて、ちゃんと食べてんのか?」と言われるセリフがあったのですが、本当〜に細くて観ているこちらも「ちゃんと食べてる?」と聞きたくなるようなスタイルでした。

役者さんの話はこれくらいにして、少々辛口ですが作品についての感想も。サブタイトルがなければ「ピエールって誰?」となりそう(^^;;なお話でした(スミマセン、原作読んでません)。いつになったら話が盛り上がるんだ???と思っていると、いきなりエンディング(クライマックスではない・笑)になっちゃって、心の中で「ありゃ?もう終わり?」と突っ込みました。

ラストシーンに高貴な方が出てきて色々と語って、実は主人公の母で、母の命令でヒロインと結婚…。どこかで観たことがあると思ったら、「エクスカリバー」(1998年宙組公演)と一緒でした。違うのは今回は父親も生きてたということくらいで、貴族の血を引くという設定も同じだし。エクスカリバーでは感じなかったこそばゆさを感じたの(エクスカリバーでは『子供向けのお伽噺を聞かされている』ような照れくささを感じてはいたのですが)は、私が石田先生のコメディがあまり好きではないというのもあると思います。「宝塚らしくない宝塚の舞台」というのが私が石田先生の作品に持つイメージなのですが、性的な表現を直接的な言葉で言わせれば「宝塚らしくない」という点はクリアできると思いますが、観客がそこで嫌悪感を感じるようではいけないと思いました。ハッキリ言わせてもらえば、本公演ではキャリアのある人が中心になるのでまだそれなりに観られてしまうが、経験の浅い人がやったらさっぱり面白くないんだろうなぁという、「役者の力量に頼った脚本」としか思えないわけで…。って書けば書くほど辛口になりそうなのでもうやめます(笑)。


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