2003年2月1日 ソワレ(初日)
1階I列4番
モーツァルト!が閉幕してから1ヶ月。こんなに早く井上くんの舞台を続けて拝見できる喜びを胸に劇場へ行きました。開演前に売店を覗いてみると公演プログラム(1,000円)、翻訳台本(1,600
+ 消費税)などに加えてレプリークなども販売されていました。
会場に入るとオーケストラピットがあり、その代わり(?)A〜C列がなく、最前列はD列からでした。とても綺麗な劇場でしたが、床がフローリングでしたので「遅刻したら目立つな」などと考えてしまいました(笑)。
舞台の上に舞台奥に向かって延びているひし形(1箇所を引き伸ばした形)の八百屋舞台(傾斜のついた舞台)があり、そのサイドにステージベンチ席が設置されていました。役者さんにとっては360度どこからも観られているような作りになっていました。
第1幕
舞台奥からミュートの水野さんが手に小さなハープの形をした楽器を手に登場。舞台の縁に腰掛け楽しそうに弾いているところにエル・ガヨの山路さんが登場し、ミュートに合図をするとミュートは一旦引っ込みました。そしてエル・ガヨがお辞儀をすると上手通路よりベロミーの斉藤さんが、下手通路よりハックルビーの岸さんが登場。「こんにちは〜!」、「ようこそいらっしゃいました!」などと声をかけながらの登場がとても楽しい♪次に上手通路よりルイーザの高塚さんが登場。ベロミーに「お客様にご挨拶なさい」と言われたのにおどけているルイーザ。すると下手通路奥より「あの、僕もう出てもいいですか?!」とマットの井上くんが駆け下りてきました。このときの衣裳は全員黒づくめ。井上くんの黒い髪がとても可愛かったです。
舞台に上がろうとする井上くんにステージベンチに座っていたお客様がプレゼントを渡そうとしていてビックリ。井上くんも戸惑った表情を浮かべています。お客様は岸さんに促されて元の席へ。舞台奥から再びミュートが登場し、井上くんと高塚さんに舞台衣装を手渡します。エル・ガヨ、ミュート以外の4人はステージベンチの目の前で早替わり(笑)。井上くんはデニムに白いシャツで、そこへミュートから受け取った水色のシャツを羽織ります。いつの間にか舞台の上に黒い箱が置かれそこへ腰掛けるマットとルイーザ、後ろに立つ父親2人。ところが井上くんの手には先ほどのプレゼントが!「うわぁっ!」とビックリして後ろにパスしますが回り回って再び井上くんの手に戻ってきてしまいました(笑)。慌ててステージベンチに置く井上くん。4人が無事にポーズをとったところでエル・ガヨがトライ・トゥ・リメンバーを歌いだし、4人もコーラスに加わります。歌い終わると「物語を始めましょう」と登場人物を紹介し、「他に必要なものは全てこの箱からでてきます。」と言うエル・ガヨ。
まずエル・ガヨが男の子と女の子の馴れ初めのような話を始めます。「大きくなって恥じらいを知るようになりました…。別々の理由で」と言うとマットは自分のズボンの中を、ルイーザは胸を触りビックリします(笑)。そしてルイーザについて話し始めます。。他のメンバーは上手側のステージベンチにベロミー、下手側のステージベンチにマットとハックルビーが座ります。ルイーザは普通の女の子になりたくない事を願っています。エル・ガヨに「自分の事をお姫様だと思っています。」などと言われています。そして、「私は特別!若いうちにやりたい事をやるの」という内容の歌を歌います。最後は箱の上で歌い上げ気を失い、ミュートに抱きかかえられてステージベンチに戻ります。
次はマットについて。音楽に合わせてミュートが舞台奥から投げた本を受け取って、マットが舞台上に上がります。エル・ガヨは男の子の方が短いお話と言っていたのですが、マットは「彼女がいたんだ。」と一言(笑)。そしてマットは自分について語りだします。大学で生物学を専攻し、世の中の仕組みを知った大人だと思っていたのに、彼女がいたので若返り愚かになる…。「生物学なんてまっぴら。無学で結構!」と本をミュートに投げ返します。そして彼女について語り始めます。マットが「馬鹿げているって言うことは分かってる。でも僕は彼女を愛してる」と言うとエル・ガヨがミュート(壁)の存在を教えます。
そして壁越しに2人は話し出します。マットに ♪I love you〜 と歌いかけられ気絶するルイーザ。マットはルイーザは砂漠のオアシス、寒い世界での炎だと例えます。エル・ガヨがミュートに合図を送ると、ミュートがルイーザを起こすのですが、マット例えるたびに気絶するのが可笑しかったです。最後は他には何にも例えるものはないと壁越しに抱き合って歌い上げます。2人がコソコソと話しているとマットの父親・ハックルビーがやってきます。隠れようとするマットにルイーザはキスをして!と言い、壁越しにキスをする2人。
ハックルビーが自分の事について語りだすとエル・ガヨが「長い、長い」とストップします。この間も2人はずっとキスをしたままのポーズ。切りバサミでマットの足を挟んでやっとポーズが解けました。「壁の向こうにいるのは敵だ!」という父親にマットはウンザリした風です。「そろそろ結婚をする年だから、買い物のついでに見つけといた」と父親は言い出します。もちろんマットはビックリ。「僕は父さんの言うとおりになんかしない!」と自分の理想の結婚式を歌いだします。この時、客席に降りてきてくれました。「僕らのウェディングベルを鳴らせ!」とマットは盛り上がりますが、「家に入って単細胞と200回書きなさい!」と父親に追い立てられてしまいます。
続いてベロミーが登場し、同じように「壁の向こうにいるのは敵だ!」と言い出しルイーザを部屋に追いやります。するとベロミーが
♪ヨーロレイフゥ〜〜 とヨーデルで合図を送り、ハックルビーも ♪ヨーロレイヒィ〜〜
とヨーデルで応えます。実は2人は大の仲良しで、マットとルイーザの結婚を願っていました。しかし、お膳立ててやったら子供達は反発するに違いないと、庭の間に壁を作ってまで仲の悪いフリをしていたのです。「子供を思った通りに操りたければたった一言、『NO!』と言えばいい」と父親2人は歌います。父親達の思惑通り子供達は恋に落ちますが、結婚させる為には仲違いを止めなくてはいけません。そこで、父親達は狂言誘拐を思いつきます。
雇われたのは流れ者のエル・ガヨ。音楽と共にマントが頭上から降りてきて、それを羽織って颯爽と登場です。誘拐の値段を聞かれたエル・ガヨは「色々なコースがある」と歌で説明していきます。ファーストクラスは衣裳も取り寄せ、ブラスバンドもあり!と言うと、オーケストラの人が手を振ったりしてとても楽しかったです。派手なセットもあります!というと頭上からシャンデリアも降りてきたのですが、それが曲調も某ロイド・ウェーバー作品のパロディみたいで思わず笑ってしまいました。ノリノリのハックルビーに対し、「チョット待って!」と慌てるベロミー。コミックタイプ、ロマンティックタイプ、ドラマティックタイプ…などお値段次第と様々なタイプの誘拐を勧めるエル・ガヨ。結局、一生に一度だから、ファーストクラスでいこう!となります。自分達の役のリハーサルの為に家へ戻る父親達。
誘拐劇を仕立てる為には役者が必要、という事でエキストラとしてステージベンチのお客さんが指名されます(笑)。他にはと考えているとどこからか聞こえてくる太鼓の音…。舞台上にいつの間にか設置された箱の中からモーティーマーとヘンリーが登場します。いかに自分達が役に立つかを述べるヘンリー。2人は衣裳はボロボロ、頭もボサボサ。なんとも頼りなさそうですがエル・ガヨは仕事を依頼する事にします。
月明かりの下でマットとルイーザは語り合います。この月はエル・ガヨが出した作り物だったのですが、ライトのあかりで本当の月に似た色でとても綺麗でした。薄暗い中で寒がるルイーザにジャケットを貸そうとするマットですが「いらない」と言われ、「あっ、そう。」アッサリと引き下がってしまうので思わず吹き出してしまいました。エル・ガヨの合図で雷鳴がとどろき、その音に驚いたルイーザがマットに抱きつきます。どうしてもハッピー・エンドにしたい!というルイーザにマットは優しく「きっとそうなるさ。約束する」と応えます。2人は「雨よ、2人の愛の城にも降れ」とデュエットし、キスをします。
そこへ打ち合わせどおりエル・ガヨ、ヘンリー、モーティマーが登場しルイーザを誘拐しようとします。何も知らないマットは必死に戦い、打ち合わせ通りエル・ガヨは倒されます…が、この時のエル・ガヨが中々倒れなくて、倒れたと思ってもまた起き上がってきてすごく可笑しかったです。マットも「まだ死なない!」と言ってました(笑)。父親達も駆けつけ子供達の無事を喜びます。ここで4人がストップモーションになると「アイタタ」とエル・ガヨが起き上がって、ヘンリー&モーティーマーに別れを告げます。2人は登場した時と同じようにステージベンチに置かれた箱の中へ消えていきます。
タクトを取り出したエル・ガヨの指揮で4人は Happy Ending になったと歌います。ラストでポーズをとりますが、マットは右腕を上げ、左腕でルイーザと腕を組みます。ルイーザは左腕と左足を上げ、2人を囲むように父親達が手を繋ぎますが、片足を上げたポーズを取っています。顔は4人とも笑顔です。するとエル・ガヨは「この美しいポーズがいつまでもつでしょうか?こんなに美しいポーズを保つのは並大抵の事ではないですよ」と客席に問いかけます。そしてエル・ガヨが「これで1幕は終了。休憩です」と言ってミュートと共に舞台から去ってしまいますが、4人はそのままの状態でポーズをしています。休憩のアナウンスが入ってもしばらくそのままの姿勢でいたので客席からは笑い声と拍手が起きていました。
第2部
ライトが点くと1幕ラストのポーズでスタンバイしている4人がいたので思わず吹き出してしまいました。エル・ガヨは「作り物(狂言誘拐)で始まった物語を終わらせる為に全員が火傷をしなくてはいけない」というような事を言います。その間も4人はポーズをとったままだったのですが、次第に疲れた様子を見せます。顔は笑顔のまま父親(斉藤さんかな?)は「アツイ…」と言い出し、マットはさりげなく額の汗をぬぐったりしていました(笑)。とうとうポーズを崩した4人は、月明かり(作り物)が消え、お日様(現実)の光に照らされたお互いを見ます。
それぞれが自分の思った事を言い出します。マットはルイーザにプラムを渡しますが、彼女に「熟れ過ぎてるわ!」と言われてしまいます。「失礼!」と言い返しますが、その言い方がとても嫌味っぽくてすれ違い始めた2人という感じでした。ステージの縁に座ってプラムを食べようとするマットはルイーザの視線に気がついたのか「食べてるトコ見ないでくれる?!」とルイーザに言い放ち、彼女に「失礼!」と言い返されます。『演じる事はもう止めよう。夕べの景色はもう沢山だ』と4人が歌います。
トラブルを解決したマットとルイーザは浮かれていますが、父親達は真実を打ち明けたくてウズウズしてきます。あまりの浮かれぶりにとうとうハックルビーが真実を話しますが、2人は信じようとしません。そこへエル・ガヨが請求書を持って現れ、誘拐は狂言であった事を知ります。当然2人は怒り出してしまい、父親同士はどちらが言い出したかで本当に仲違いをしてしまいます。そこへ現れたエル・ガヨにマットは決闘を申し込みます。「誰か剣をくれ!」というマットにミュートが手渡したのはフェンシングで使うような立派なサーベルでした。ビックリしつつもマットはエル・ガヨに挑みますがアッサリやられてしまいます。マットの顔の目の前に突きつけた剣をエル・ガヨが一振りすると『ヒュンッ』といい音がしました。悔しがるマットに「自信過剰だった」と追い討ちをかけるルイーザ。マットとルイーザも喧嘩を始めてしまいます。ルイーザに頬を叩かれたりして、本当に痛そうでした。
ついにマットは旅立とうとします。残ったルイーザの頬からそっと涙の一滴を拭うエル・ガヨ…カッコよすぎ(笑)。ここでマットとエル・ガヨのデュエットがあり、マットは「この道を行けばきらめく世界が待っている」と歌い、エル・ガヨは反対の事を歌っているのですが、この2人のデュエットがとてもカッコよかったです〜。そしてエル・ガヨが「彼を旅立たせましょう。」と言うとヘンリーとモーティーマーが現れ、マットを連れて行ってしまいます。先ほどのエキストラのお客様も一緒に(笑)。この時に下手側通路を通っていったのですが、近くを通る井上くんにドキドキ(笑)。
舞台では1ヶ月が過ぎた設定になっていました。ミュートが壁を作っているところにハックルビーとベロミーがやってきます。2人はどちらからともなく話を始め、仲直りをします。この時の歌が『野菜を植えよう』という歌なのですが、野菜は種を植えればきちんと同じものが育つけれど、子供はそうはいかないという内容なのですが、♪子供がねじれて育っても
切っても切れない親子の縁 という歌詞にジーンとしてしまいました。
ルイーザは放心しているように歌い出しますが、エル・ガヨに声をかけられます。エル・ガヨに「世界に連れて行って欲しい」と言うルイーザ。あなたとならどこへでもいける。と歌いだすとマットが苦労する様子が見えてきます。この時、上・下のステージベンチの脇に井上くん、二瓶さん、なすびさんが出てきて井上くんは火あぶりにされたり、鞭で打たれたりしていました。そしてマットは逃げ出すのですが、ステージベンチの前を駆け抜けていきました。そのたびにルイーザはビックリして止めて欲しいと言いますが、エル・ガヨが「マスクを!」と言ってマスクをつけると景色が違って見えたように態度が豹変してしまいます。踊り明かそうと歌い踊るルイーザとエル・ガヨ。
旅立つ前にルイーザはエル・ガヨにキスをせがみます。エル・ガヨは彼女のまぶたにキスをします。「やっとまぶたにキスしてもらえた」と喜ぶルイーザ。ルイーザが荷物を取りにいこうとすると、戻ってくる証にネックレスを置いていくようにいうエル・ガヨ。母親の大事なかたみのネックレスをルイーザは預けます。エル・ガヨが
I can see it を歌い出すと、本当の世界を知り、傷つき戻ったマットが呼応するように歌います。井上くんはコートを引きずりながらヨタヨタと下手通路から登場でした。ルイーザが立ち去ったのを見届けたエル・ガヨはその場を後にしようとしますが、幼い彼女を傷つけないで欲しいとマットが引き止めます。しかしエル・ガヨはマットを殴り立ち去ってしまいます。
戻ったルイーザは置いていかれた事に気付き、泣き出してしまいます。彼女を慰めるマットと、傷ついたマットを慰めるルイーザ。2人はお互いがいればもう大丈夫という内容の歌を唄います。するとミュートが雪を降らせ、2人は一つのコートを一緒に羽織り、一番初めの歌の一節(他には何にも例えようもないという部分)を歌いキスをします。マットが戻ってきた事を知った父親達は壁を壊そうとしますが、エル・ガヨは「そのままにした方がよい」と言って壁はそのままに。最後はエル・ガヨがトライ・トゥ・リメンバーを歌って幕。
カーテンコール
ダンサーの3人(エキストラとして選ばれたお客さんというのは実はダンサーの3人だったのです。とても自然で途中までずっと騙されてました・笑)、二瓶さん&なすびさん、岸さん&斉藤さん、井上くんと高塚さん、最後に山路さんの順で登場でした。その間も水野さんは紙ふぶきをそれぞれにかけていました。このレポでは分かり辛いかもしれませんが、エル・ガヨに小道具を手渡したり、箱を準備したり、雪の紙ふぶきを降らせたりと水野さんはずっと大忙しでした。水野さんのテンポが狂えば全てが狂ってしまうわけで、とても大変な役だと思いました。
最後は全員でトライ・トゥ・リメンバーを歌って終わりでしたが、何回か続いたカーテンコールに皆さんで出てきてくれました。ステージベンチのお客さんにも見えるように舞台のうえをぐるぐると回って応えてくれていました。舞台袖に戻る時も井上くんはギリギリまで手を振ってくれました。最後に去る水野さんがステージを支えていた鉄柱を掴み一回転したのがとてもカッコよかった!!
感想
オフ・ブロードウェイで40年以上もロングランされ、日本でも何度も上演されているだけあって、シンプルだけども印象的なお話でした。1幕ラストで「美しいポーズを保ちつづけるのはとても大変な事」というエル・ガヨのセリフがありましたが、目の前に見えている体の姿勢だけでなく、自分達の状況も揶揄していたり、父親達が子供達を野菜に例えていたりとチョット哲学的なところがお伽噺のようなこの物語にとてもあっていたと思いました。
井上くんは今まで拝見した中で一番ダークな(黒かうーんと濃い茶色かな?)髪の色で、かなり短くなっていて爽やかな王子光線(笑)一杯でした*^^*。出番が意外と少ない…と感じたのはモーツァルト!の出ずっぱりを観続けてきたから(笑)?
他に気になったのはミュートの水野さんとエル・ガヨの山路さん!山路さんはルイーザではないですが「大人の魅力!」というところでしょうか。父親達と歌う『誘拐ソング』はすごくカッコよかったです。水野さんは上にも書きましたが陰になり日向になり(違)、舞台を黙々と進行する様子が素敵でした。ステージの上でターンをする事があったのですが、その時も軸にぶれがなくとても綺麗なターンでした。
今までは皇太子、自殺願望の強い青年、ハンディキャップのある青年、大作曲家…と一癖も二癖もある(笑)人物を演じる事が多かった井上くんですが、今回初めて(チョット頭でっかちな所はあるけれど)、普通の男の子を演じている井上くんを観て、演技がとっても自然体で見ている私も
リラックスしながら観ることができましたし、若い2人の挫折と再会に暖かい気持ちで劇場を後にしました。

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