Harold and Maude



〜Introduction 〜
それは10月の中ごろ突然やってきました。一見すると何の変哲もないDMのようでした。送り主はグランアーツさん、井上君の所属事務所です。驚いて封を開けると、そこには「朗読会を催すことになりました」の文字。「え?朗読会?どんな事をやるの?」と思いながら同封されていたLa POLA 11月号を読むと“ドラマリーディング”と題されており、参加方法1人1枚のはがきによる抽選との事。翌年のエリザベート再演まで井上君に会えないと思っていた私は大喜びでした。




〜Cast 〜
モード  : 新珠 三千代
ハロルド : 井上 芳雄




〜Story 〜
2001年の公演を観て一部修正しました。
ハロルドは21歳の大学生。未亡人の母親が大学の理事を務めている、といういわゆる“お坊ちゃま”です。そんなハロルドの趣味は自殺(未遂)!そして知らない人のお葬式に参列すること…
いつものように知らない人のお葬式に参列したハロルドは、1人の老女と出会います。伯爵夫人だというその老女の名はモード。モードはもうすぐ80歳になるというのにとても行動的。枯れている街路樹がかわいそうだからと、勝手に抜いてきてしまったり、動物園のアザラシを狭いところに閉じ込められて不幸だといって海に帰してしまったり…。ハロルドはそんなモードに初めは戸惑いを隠しきれません。

しかし、生きることに意味も楽しみも見つけられなかったハロルドは、自由な考え方を持つモードに次第に惹かれ始めていきます。雨の中2人でお花畑を歩いた日。その日はディナーまで完璧でした。自分の事を聞かせて欲しいと言われて、「死ぬのは楽しい。」と話すハロルドに「ただ生きる事から逃げているだけ。」とモードは言います。そしてモードが「歌を歌いましょう」と誘います。誰だって知っているというその曲の名は、「Still in My Heart」。「今度は合奏をしよう」というモード。「楽器は何もできない」というハロルドにモードが手渡したのはバンジョー。「まず、楽器とお友達になる事から始めるのよ」と言って、2人は合奏をする約束をします。

また別の日、大変な事が起こります。モードの家の家具が代金未払いだという事で、すべて持っていかれてしまったのです。
ハロルドは慌てますが、モードにとってはそんな事より木を植え替え忘れた事の方が重要です。
無事に木を森に植え替え、これからの事をどうするかと尋ねるハロルド。彼は翌日の晩にモードの誕生日のお祝いをしようと思っていたのでした。モードお勧めの高い木に登ったり、芝生の上で逆立ちをしたりする2人。とてもいい一日を過ごす事のできたハロルドはモードの頬にそっと口づけます。

夜になってモードの家に戻った2人。家具もランプも何もない部屋でキャンドルに火をつけ、ハロルドが練習したバンジョーを片手に「Still in My Heart」を歌おうとしたその時、モードがあるものを見つけ泣き出してしまいます。それは亡くなった彼女の夫との思い出の品。モードの涙を初めて見たハロルドは驚きます。「あなたは絶対泣かない人だと思ってた。」と言うハロルドに対し、「あなたはまだ若い。何にもわかっていないの。」と言うモード…「人間は笑う、人間は泣く。その2つが人間でいる証拠なの。ハロルド、一番大切な事はね、自分が人間だという事を恐れちゃいけないっていうこと…」ハロルドは彼女の涙をぬぐって、彼女の唇にそっと口づけます。キャンドルを消して彼女を抱きしめるハロルド…

そして翌朝、家に帰ったハロルドは「結婚します。」と母親に打ち明けます。ハロルドの趣味を心配していた母親は大喜びです。しかし、相手が80歳になろうとするモードだと知って必死に止めようとしますが、ハロルドにその声は届きません。モードに渡すための指輪を持ったハロルドは、2人きりでモードの80歳の誕生日を祝うために彼女の家へと向かいます。

けれどもモードには、ハロルドに出会うずっと以前から心に決めていたことがあるのでした…



〜Memories 〜
みなさんは「朗読会」と聞いてどんなことをイメージしますか?私は椅子に座って、本を読むのかな?って思っていたのですが…。実際は譜面台のようなものに原稿を置いて、それを確認する時以外には普通にお芝居をしていました。例えるなら、映像つきのラジオドラマ(笑)といったところでしょうか。

最初のイメージがあったので、膨大なセリフの量にビックリしたのを憶えています。井上君はハロルド以外にもハロルドの言葉を通してですが、精神科医、教会の神父、果てはハロルドの母親まで演じていました。

会場はそんなに広くないので椅子がびっしりと置かれていました。その分舞台と近く、アットホームな雰囲気でした。壁際(って言うのかな?)に舞台が作られ、その上にはお二人が座るための椅子とクッション。椅子の間にはテーブルがあり、その上にはシャンパングラスが2つとろうそく、ライター。小道具ではありませんが、喉を潤すための飲み物もありました。井上君の椅子の後ろにはバンジョーが置いてありました。(私の座った場所からはバンジョーは見えませんでしたが、井上君がバンジョーを自分の椅子の後ろから取り出して弾いた記憶があります。)

新珠さんをぎこちない仕草でエスコート(腕を組んでいました)しながら入場してくる井上君を見て「可愛い」と思いました。だってほんとに慣れてなくて、ぎこちない様子だったんですもの!(すみませんファンモードです)下手側が新珠さん、上手側が井上君でした。舞台の上にたってお辞儀をする井上君。背が高いので、天井についてしまうんじゃないかしらというくらいの距離でした。

肝心のお芝居の感想なんですが、半年以上も経っていますので記憶がかなり曖昧です…。
表情豊かに、実年齢と同じ21歳のハロルドという青年を生き生きと演じていたのは憶えています。椅子に座っていたのですが、手も足も良く動いていました。私は下手側だったので、ハロルドがモードに向かって話す時はこちらを向く井上君の表情がよくみえました。

何より一時間も目の前に座って、お芝居したり、歌ったりする井上君を観られた事はとても幸せでした(笑)。また朗読会といってもBGMや照明もあり、「ドラマ」なんだなぁと思いました。



〜Expectation 〜

何とかこのページを完成させることができました。半年以上も経っているので自分の記憶に自信がないのが悩みです…。記憶の曖昧さゆえに、このページを作るかどうか迷っていたのですが、再演に際してもう一度思い返したいという思いだけで作ってしまいました。

「いつか再演してほしいな。ミュージカルとしてやってほしいな。」とは思っていましたが、新珠さんのご逝去でミュージカル化どころか朗読会の再演すらありえないと思っていました。それだけに今回の再演のニュースは嬉しい限りです。

チラシにもありましたが、舞台の上には井上君1人きりです。ですが絶対に新珠さんは天国から見守ってくれていると思います。今年はどんなハロルドに出会えるか…期待したいです。

2001/5/27 ともっぺ





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