海岸林 防風・防雪・飛砂防止・高潮や津波軽減などの役目があります。

 

 福岡市・海の中道の海岸林と静砂垣(写真1、形式は種々)   飛砂による鉄道交通障害(昭和30年代、福岡市東区の雁ノ巣)

 

 ◇ 外海に面した海岸、特に日本海側では、冬の北西季節風によって風害・塩害・雪害・飛砂害が生じやすい。(海岸での瞬間最大風速は25m/sを超える場合があり、新潟などでは34m/s以上の記録もあります。)

 それを緩和する目的で、静砂垣などの人工構造物を併用しながら、クロマツ(ニセアカシアなどマメ科の肥料木も混交させる)を中心とした海岸林が造成されます。植栽密度は、1haあたり1万本などとし、ニセアカシア、ネムノキなど肥料木を10%程度一緒に混植します。

 ◇ 防風や飛砂害防止のためには、樹林帯の幅100m以上が好ましく、林から樹高hの5倍から10倍の風下まで風速が半減するので、この長さの10hから5hの間隔で樹林帯を複数造成すると防風効果が上がります。砂粒径や比重にもよるが砂が跳びはじめる飛砂限界の風速4.55.5m/sに風速が収まることも望ましいです。

 ◇ 防潮(塩分補足、高潮・高波・津波軽減)の効果もあります。塩分補足のためには風速を減らします。高さ1m以上で幅70mのクロマツ林では、塩分補足率が90%にも上ることが報告されています。また、1966年の森林総合研究所における研究では、高潮・高波・津波軽減には樹高数mの樹林帯の幅が約40mで波の高さが減少し、80mあると半分の高さになると報告されています。三陸海岸におけるチリ地震による大きな津波の際にも25m幅の林帯で、6隻の船舶(10t)の内陸への流入が防がれた事実もあります。

 2004年12月に発生し、30万人近くにも上る犠牲者を出したインド洋の大津波災害も海岸林が整備されているだけで有意に軽減された可能性も考えられます。

 海岸の美観や景観などにも配慮できる上に、海岸林はこのように重要な役目をもっているわけです。

 

 海岸林のことに関心がなかった方も、このような目で一度海岸を眺めなおしてみてください。

Ver. 26/01/2005)

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